ミクストメディアとは、絵具だけでなく、紙、布、金箔、砂、樹脂など、複数の画材や素材を組み合わせてつくる美術作品、またはその技法のことです。英語の mixed media をカタカナにした言葉で、「ミクスドメディア」と書かれることもあります。作品の技法の欄に「ミクストメディア」「混合技法」とあれば、二種類以上の素材が使われているという意味です。
- ミクストメディアは、複数の画材や素材を組み合わせた作品・技法。「ミクスドメディア」「混合技法」も同じ意味。
- 魅力は、表面の凹凸と素材ごとの光り方の違い。写真では伝わりにくく、実物で印象が変わる。
- 飾るときは斜めからの光が合う。凹凸にほこりがたまりやすいので、やわらかい刷毛で払う。
ミクストメディアの意味
絵画の技法は、ふつう「油彩」「水彩」「アクリル」のように、使った絵具の名前で呼ばれます。ミクストメディアは、それらを一つに絞らず、複数を組み合わせた場合の呼び名です。
たとえば次のような作品は、どれもミクストメディアです。
- アクリル絵具で描いた上に、金箔を貼った作品
- 水彩に、盛り上げ用の下地材(テクスチャーペースト)で凹凸をつけた作品
- 油彩の画面に、布や紙を貼り込んだ作品
- 写真の上から絵具で描き加えた作品
英語の表記では、一つの作品に複数の素材を使うことを mixed media、音や映像など複数の表現手段を組み合わせることを multimedia と呼び分けます。
似た言葉との違い
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| ミクストメディア | 複数の画材・素材を組み合わせた作品全般 |
| コラージュ | 紙や布、写真などを貼り合わせてつくる技法。ミクストメディアの一種 |
| アッサンブラージュ | 立体物を寄せ集めてつくる作品。箱や板に物を取り付ける |
| 混合技法 | ミクストメディアの日本語訳。テンペラと油彩を併用する古典技法を指すこともある |
ミクストメディアの歴史
20世紀の初め、ピカソとブラックが、新聞紙や壁紙を画面に貼り込む「パピエ・コレ」を試みました。絵具以外のものを絵に持ち込んだ、初期の例です。
その後、ダダやシュルレアリスムの作家たちが、写真や印刷物の切り抜きを組み合わせて作品をつくりました。1950年代には、ロバート・ラウシェンバーグが、絵画に布や日用品を取り付けた「コンバイン」と呼ばれる作品を発表しています。
現在では、素材を一つに限らないことは特別なことではなくなり、多くの現代の作家がミクストメディアで制作しています。
よく使われる素材
- 絵具:アクリル、油彩、水彩、インク
- 盛り上げ材:テクスチャーペースト、モデリングペースト、ジェッソ
- 箔:金箔、銀箔、金属箔
- 紙・布:和紙、新聞、楽譜、レース、麻布
- 粒状の素材:砂、大理石の粉、ガラスの粒
- 樹脂:レジン。表面に透明な層をつくる
アクリル絵具は乾きが速く、いろいろな素材によく付くため、ミクストメディアの土台としてよく使われます。アクリルの特徴はアクリル画とは?で紹介しています。
ミクストメディアの魅力
表面に凹凸がある
絵具を盛り上げたり、素材を貼り重ねたりするため、画面に高さの違いが生まれます。光が当たると影ができ、平らな絵にはない立体感が出ます。
素材ごとに光り方が違う
箔は強く反射し、砂や和紙は光を吸い、樹脂は透き通って見えます。一つの画面の中に、いくつもの質感が並びます。
時間帯で表情が変わる
朝の横からの光と、夜の照明とでは、影の出方が変わります。同じ作品が、一日の中で違って見えます。
これらは写真や画面では伝わりにくい部分です。ミクストメディアの作品は、実物を見たときに印象が大きく変わることがよくあります。
作品を選ぶときの見方
- 素材の欄を読む。何が使われているかを知ると、どこを見ればよいかがわかる
- 横から撮った写真があるか確かめる。凹凸の高さがわかる
- 気になる点は聞く。表面の質感、重さ、額装が必要かどうか
世界アートの扉では、水彩に盛り上げ材と金箔を組み合わせた作品や、インクとニスを重ねた作品など、複数の素材を使った原画を扱っています。質感が気になる作品は、購入前にお問い合わせください。作品の一覧から、各作品の技法をご確認いただけます。
飾り方と手入れ
- 光は斜め上から:スポットライトを斜めから当てると、凹凸の影が出て質感が引き立ちます。当て方は照明でアートを美しく見せる方法にまとめています
- 直射日光と湿気を避ける:紙や布を使った作品は、とくに湿気に弱い
- ほこりは刷毛で払う:凹凸にほこりがたまりやすいため、やわらかい刷毛で軽く払います。布で拭くと、素材に引っかかることがあります
- 表面に触れない:箔や盛り上げた部分は、触ると欠けることがあります
額装するときは、凹凸がガラスやアクリル板に当たらないよう、奥行きのある額(ボックスフレーム)を選びます。額の選び方は絵画の額装(フレーム)の選び方完全ガイドをご覧ください。
ミクストメディアは、複数の画材や素材を組み合わせた作品のことです。凹凸と、素材ごとの光り方の違いが魅力で、実物を見ると印象が大きく変わります。素材の欄を読み、斜めからの光で飾ると、その良さがよく伝わります。
よくある質問
ミクストメディアとは何ですか?
絵具だけでなく、紙、布、箔、砂、樹脂など、複数の画材や素材を組み合わせてつくる美術作品、またはその技法のことです。
「ミクストメディア」と「ミクスドメディア」は違うものですか?
同じものです。英語の mixed media をカタカナにしたときの書き方の違いです。
ミクストメディアとコラージュの違いは何ですか?
コラージュは、紙や布などを貼り合わせる技法を指します。ミクストメディアはより広い言葉で、コラージュはその一種にあたります。
ミクストメディアの作品の手入れはどうすればよいですか?
やわらかい刷毛でほこりを軽く払います。表面の凹凸に引っかかるため、布で拭くのは避けてください。直射日光と湿気も避けます。






