絵画とは、紙・布・板・壁などの平らな面に、絵具や墨などを使い、色や線で形を表した美術のことです。彫刻のような立体の美術と区別して、平面の美術とも呼ばれます。この記事では、絵画の定義、歴史、種類を順に説明します。
- 絵画は、平らな面に色や線で形を表す美術。何に(支持体)、何で(画材)描くかの組み合わせで成り立つ。
- 歴史は数万年前の洞窟壁画に始まり、宗教画、ルネサンス、印象派、抽象絵画へと移り変わってきた。
- 種類は、技法(油彩・水彩・アクリル・日本画など)と、題材(風景・人物・静物・抽象など)の二つの分け方がある。
絵画の定義
絵画は、次の二つの組み合わせでできています。
- 支持体:絵を描く面。キャンバス(布)、紙、板、壁、絹など
- 画材:色をのせる材料。油絵具、水彩絵具、アクリル絵具、岩絵具、墨、パステルなど
色の粉(顔料)を何で溶いて面に定着させるかによって、油彩、水彩、日本画といった技法の違いが生まれます。
なお「絵」と「絵画」はほぼ同じ意味ですが、絵画は美術の一分野を指す、やや改まった言葉です。イラストは、文章や商品に添えて内容を伝える目的で描かれる絵を指し、絵画は作品そのものを鑑賞の対象とする点で区別されます。
絵画の歴史
| 時代 | おもな動き |
|---|---|
| 先史時代 | ラスコーやアルタミラの洞窟壁画。動物や狩りの様子が描かれた |
| 古代 | エジプトの墓の壁画、ギリシャ・ローマの壁画 |
| 中世 | キリスト教の教えを伝える宗教画。金地の背景 |
| ルネサンス(15〜16世紀) | 遠近法と油彩の技法が発達。レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロ |
| バロック(17世紀) | 強い光と影。レンブラント、フェルメール、ベラスケス |
| 印象派(19世紀後半) | 屋外の光を、明るい色と短い筆の跡で描く。モネ、ルノワール |
| 20世紀 | キュビスム(ピカソ)、抽象絵画(カンディンスキー)、抽象表現主義(ポロック) |
| 現代 | 素材も方法も自由に。デジタルで描く作品も加わる |
日本では、中国から伝わった絵画をもとに、平安時代にやまと絵が生まれ、室町時代には水墨画が盛んになりました。江戸時代には多くの流派が並び立ち、明治時代に西洋の絵画が本格的に入ってきたことで、「日本画」と「洋画」という区別が生まれました。江戸時代の絵画は江戸絵画とは?で、日本画については日本画の魅力で紹介しています。
技法による種類
| 技法 | 特徴 |
|---|---|
| 油彩(油絵) | 顔料を油で溶く。乾くのが遅く、重ね塗りで厚みと艶が出る |
| 水彩 | 顔料を水で溶く。透明感があり、紙の白を生かす |
| アクリル | 20世紀に生まれた絵具。乾きが速く、発色がはっきりしている |
| 日本画 | 岩絵具や墨を、膠(にかわ)で和紙や絹に定着させる |
| テンペラ | 顔料を卵などで溶く。油彩が広まる前の主流の技法 |
| フレスコ | 乾く前の漆喰の壁に描く。教会の壁画に使われた |
| ミクストメディア | 複数の画材や素材を組み合わせる |
それぞれの技法は、油絵(油彩)の特徴と選び方、水彩画の魅力と飾り方、アクリル画とは?、ミクストメディアとは?で詳しく紹介しています。
題材による種類
- 風景画:自然や街の眺めを描く
- 人物画・肖像画:人の姿を描く
- 静物画:花、果物、器など、動かないものを描く
- 宗教画・歴史画:聖書や神話、歴史上の出来事を描く
- 抽象画:具体的な物を描かず、色や形そのもので画面をつくる
具体的な物を描いた絵を「具象画」、描かない絵を「抽象画」と分ける言い方もあります。抽象画の見方は抽象画の魅力と失敗しない選び方にまとめています。
絵画が果たしてきた役割
- 記録する:写真のなかった時代、人の顔や出来事を残す手段だった
- 伝える:文字の読めない人にも、宗教の教えや物語を伝えた
- 飾る:建物や部屋を美しく整えた
- 表す:近代以降は、画家自身の感情や考えを表すものになった
写真が発明された19世紀以降、絵画は「見たままを写す」役割から離れ、絵でしかできない表現を探るようになりました。印象派や抽象絵画は、その流れの中で生まれたものです。
絵画を楽しむには
絵画に正しい見方はありません。まずは「好きか、そうでないか」から始めて、気になった絵について、誰が、いつ、何で描いたのかを調べてみると、見え方が広がります。
もうひとつの楽しみ方は、暮らしの中に一枚飾ることです。美術館で見る絵と違い、自宅の絵は毎日、違う光の中で見ることになります。はじめての一枚の選び方は海外の絵画を購入するには?でまとめています。用語がわからないときはアート初心者のための用語集をお使いください。
絵画とは、平らな面に色や線で形を表した美術です。数万年前の洞窟壁画から現代まで、記録する、伝える、飾る、表すと役割を変えながら続いてきました。技法と題材という二つの分け方を知っておくと、作品を見るときの手がかりになります。
よくある質問
絵画とは何ですか?
紙・布・板・壁などの平らな面に、絵具や墨などを使い、色や線で形を表した美術のことです。
絵画にはどんな種類がありますか?
技法で分けると油彩・水彩・アクリル・日本画など、題材で分けると風景画・人物画・静物画・抽象画などがあります。
絵画とイラストの違いは何ですか?
イラストは文章や商品に添えて内容を伝える目的で描かれる絵です。絵画は、作品そのものを鑑賞の対象とします。ただし境目ははっきりしたものではありません。
絵画の歴史はいつ始まりましたか?
数万年前の洞窟壁画までさかのぼります。フランスのラスコーやスペインのアルタミラの壁画がよく知られています。






